INTERVIEW

プロデューサー 永江智大 松竹株式会社

―超人気コミック「東京喰種」を実写化!

原作を読んで、最初に感じたのは“これは本当の話かもしれない”と感じさせるリアルさ。人間だったカネキが半喰種になってしまい、ひたすら悩んで葛藤する。その等身大の主人公の姿に圧倒され、共感し、実写化したい!と原作の石田先生や集英社の方にお話させていただきました。

―原作の魅力

カネキのキャラクターと石田先生が作り上げた世界観、画の美しさはもちろん、赫子(カグネ)や赫眼(カクガン)のカッコよさにも魅力を感じます。そして何より、物語の根底にある普遍的なテーマ。人間と喰種の関係を描く設定ですが、私がそこに感じることは、究極の敵対関係にある時、相手とどう向き合うのか―。反発し合うのか、共存したいと願うのか。それは例えば、男と女、日本人と外国人にも置き換えられ、誰にでも身近に感じられるテーマです。それは、世界中の人々に愛される理由だと感じています。

―主人公・金木研=窪田正孝

「カネキが実際にこの世界にいたらこういう感じ」。石田先生の中で、主人公のカネキを演じるのは彼しかいないという確信があったんです。先生のお話を聞いて確かにそうだと思いましたし、窪田さんとお会いして改めて実感し、カネキ役をお願いしました。役者さんによっては、オンオフが切り替わる方もいますが、窪田さんは現場ではひたすらストイックで、ずっとカネキのままなんです。雑談している時も、話は「東京喰種」の連載について。カネキ役であると同時にいちファンとして、展開を楽しみにしていました。

―監督起用の理由

実写製作を許可いただく上で“やる以上は観たことのないものを作ってほしい”と石田先生はじめ、集英社の方からの期待を頂きました。そこで今までの邦画ではやらなかったことを徹底的にやりたかった。それなら、監督は若い方、長編映画が初めての方のほうが想像を超えるものが作れると思いました。元々、萩原監督は人間ドラマを描くことを得意とされていて、本作は喰種になったカネキの葛藤をいちばん大切にしないといけない。一方でバトル・アクションでもある。萩原監督は普段CMの世界で最新技術と接している方なので、アイデア豊富で、そのアイデアをアクション監督に伝えて具現化できれば、成立すると思いました。

―誰も観たことのないアクション

赫子と呼ばれる、喰種の捕食器官を使って攻撃する独特なアクションが展開していくのですが、人間からしてみれば、赫子は第三の手や足であるという考え方をアクション監督には伝えました。例えば、刀は肉体から切り離された武器ですが、赫子は身体の一部。要は、赫子は意志を持っている。意志を持った武器を使ったアクション、それは“感情を伴う”武器を使った“誰も観たことのないアクション”とも言え、今後のアクション映画のスタンダードになれたら、という想いで挑みました。

監督 萩原健太郎

―原作を読んでみていかがでしたか?

お話をいただいてから原作を読んだのですが、すごく面白かった。「もし自分が監督をするのであれば、こんな風に撮りたい」とプロデューサーに伝えたら、そこを受け入れてくれて。色んなエピソードがある中で、映画としてどう成立させるのか、何を軸に作っていくかを考えました。僕が面白いと感じたのは主人公・カネキ(窪田正孝)の葛藤です。本ばかり読んでいて周囲に無関心な大学生が、喰種になることで彼らの痛みを知り、感情が動き出し、人間らしくなる。何が喰種で何が人間なのか?その定義が崩れていく感じ。そういうことを描けたら、単なるアクション映画ではなく、この作品ならではの面白さが出るのではと思いました。

―カネキを演じた窪田正孝さんの印象はいかがでしたか?

ストイックだけど器用で、考えながら感じられるタイプだと思いました。身体能力が高く、アクション的に芝居をしているような感覚もある。俳優は2タイプいると思うんです。自分自身をうまく使う人と、役と自分をうまく繋げて演技する人。窪田さんは後者。体重もコントロールしていたし、発声の仕方まで完璧にカネキになっていました。撮影している時は、撮影に全精力を注いでくれました。

―バトルシーンの撮影はいかがでしたか?

喰種から生えている赫子(カグネ)や、捜査官が対喰種用の武器にしているクインケはCGです。実在しないものなので、それがどのくらいの重さで、どんなスピードで、どんな風に動き、どんな音がするのか、役者陣の認識に誤差がある。そこを修正していく作業は大変でした。

―そのほかの部分で、こだわった部分はありますか?

原作が持つビジュアル的な良さを損なわないようにすることですね。血しぶきも綺麗に撮りたかった。また、カネキの感情の変化にあわせて喰種の描き方にも変化をつけました。細かい部分では、効果音も丁寧にゼロから作っています。僕が監督をするからには、こうしたドラマとビジュアルのバランス感覚が要求されていると感じていましたので、応えられるようこだわりました。

―マンガ原作もアクションも長編も初挑戦ですが、手応えはいかがですか。

大変な部分ももちろんありましたが、いい作品ができたと思うし、今回、参考のためにアクション映画を色々と観て、「どういう部分を面白いと感じるのか」という発見もたくさんあった。ぜひ、また撮ってみたいですね。